Liebe
その後は水浴びを続けるリヒトたちをエリーは眺め続けた。
最近毎日リヒトがそばにいたため慣れてきてはいたが、改めて妖精の美しさを実感した。
ぼーっとその光景を見つめ続ける。
本当は一緒に水浴びをしたいのだが、妖精たちの空間に立ち入ってしまったら、妖精たちが帰ってしまうような気がした。
「あっ」
ふとリヒトの羽根に映る橙色を見つけ、エリーは空を見上げた。
日が暮れ始めている。
夕飯の準備もあるし、暗い道だとまた迷ってしまう。
エリーはそう思い立ち上がって泉を見た。
――リヒトはこのまま妖精たちと行ってしまうのだろうか。
寂しい気持ちはあったが、そうした方がリヒトにとって良いのではないかとエリーは思った。
別れはいつだって悲しいものだ。
エリーは胸の中にじんわり広がっていく不安感に気付かないふりをした。
ただ少し寂しいだけだ。
ここに来れば、きっとまた会える。
エリーは少し俯き、そのまま泉に背を向けて歩き出した。