Liebe
ぽすっと背中に何か当たったような衝撃を感じた。
驚いて振り返ると、そこには怒ったように頬を膨らませるリヒトの姿があった。
「……帰らなくていいの?」
エリーの質問にリヒトはきょとんとして、大きく頷いた。
やっぱり帰ってしまうんだ、と俯きかけたが、リヒトはそのままエリーの前に出てくるくると回りながら来た道を戻り始める。
「え、ちょっと」
慌てて追いかける。
そういう意味で帰ると言ったわけではなかったのだが、リヒトにとって帰る場所はエリーと同じ家なのだろうか。
頬が緩むのを感じながらエリーは飛んでいるリヒトの隣に並んだ。
リヒトは不思議そうにエリーを見るが、つられたように笑顔になりふわふわと飛び続けた。
「……また来ようね」
エリーの言葉にリヒトは嬉しそうに頷いた。