Liebe
「やっぱ妖精は祭りの時にしか見れねぇのかなぁ」
「祭り?」
「そうそう。知らねぇの?」
シェルの言葉にエリーがこくっと頷く。
「珍しいやつもいるもんだなぁ。ここ風の都と火炎の都、水の都と大地の都はな、季節ごとに祭りがあるんだよ」
「へぇー…そうなんですか」
「おー。それで風の都の祭りの時限定で、妖精が街に出てくるんだよ」
「そうなんですか……!」
それは是非見てみたいと思うエリー。
いつも見ている泉の妖精たちが皆集うのだろうか。
エリーは期待を込めてシェルに尋ねる。
「そのお祭りって、いつなんですか?」
「ついこないだ終わったぞ?」
「えっ」
エリーが絶望したような顔をして、それを見てシェルが豪快に笑った。
「来年もあるから安心しろって。あ、そうだ」
思い出したように声を出し、シェルは背負っていた鞄の中を漁り始めた。
そして何か小さな四角いものを取り出してエリーに見せた。
「ほら、やるよ」
「……? これはなんですか?」
首を傾げながらそれに触れる。
どうやらガラスで出来たもののようだ。
シェルに渡されて、エリーはそれを眺める。
橙色に光るそれはとても綺麗な箱だった。
それが開くことに気が付き、エリーはそっと開いた。
すると、とても美しいオルゴールの音色が泉に響いた。