Liebe
「じゃあ、これはシェルが作ったんですか?」
「ぐっ……いや、オレはまだ手伝いだけ」
そう言って不満そうに唇を尖らせる。
その仕草がまるでリヒトのようだ、とエリーは思わず微笑んでしまう。
「でもいつかぜってぇ最高の招待状を作ってやる」
「ふふ、その時は私にもくださいね」
「当たり前だろー? 祭り絶対来いよな」
そう言って楽しそうに笑う。
「つーか祭りのことも知らねぇなんてお前変な奴だな」
「へ、変ですか……」
直球で言われ、なんとなくショックを受けてしまう。
「じ、実は、私記憶がなくて」
言い訳のように言ってしまって思わず苦笑する。
自分の境遇をどう伝えたらいいかわからない。
「ほー、記憶喪失ってやつ? なんかかっけー」
ははは、とシェルは豪快に笑う。
気を遣うようなそぶりは一切見られない。
もしかして冗談だと思われたのだろうか。
もしくは、理解できていないのだろうか。
ほのかに失礼なことを考えながら、エリーはシェルと一緒に笑った。
「それでウィリアムさんに拾われて、今一緒に住んでいるんです」
「ウィリアムって、アンナやダニーのとこの?」
「はい、ご存知ですか?」
「そりゃあな」
ふむふむ、と頷くシェル。
そういえば、ウィリアムたちにはフランメに住む幼なじみがいると聞いたことを思い出した。