Liebe
「……サラ」
「サラさんですか……素敵な名前ですね」
「おー」
シェルがパシッと自らの頬を叩いて、気を取り直したようにエリーを見た。
「と、とにかく、祭り、絶対来いよ。約束だからな」
「そうですね。サラさんにもお会いしたいですし」
「だ、だからそれはもういいだろ!」
「ふふ、ウィリアムさんに言ってみますね」
「おう!」
そう言ってシェルは鞄を背負って立ち上がった。
そしてエリーに笑顔を向ける。
「じゃあオレそろそろ配達の続き行ってくるわ。暗くなる前に帰れよー」
「了解です。配達頑張ってくださいね」
「おう、任せろ!」
じゃあな、と言ってシェルは去っていく。
するとおそるおそるといったようにリヒトが木の陰から出てくる。
「あ、そんなところにいたの、リヒト」
そんなリヒトに続いて、次々と妖精が木の陰から出てくる。
そして気を取り直すように泉で遊び始めた。
エリーは祭りのことを考えながら、その光景をぼんやりと見つめていた。