Liebe
「リヒト、おはよう」
反応はなかった。
きっと頭の上で二度寝しているのだろう。
そんなことを考えつつエリーは朝食を堪能した。
ウィリアムの分を取って置き、自室へ戻る。
リヒトはもう目が覚めたのか、エリーの周りをぐるぐると飛んでいる。眩しい。
今日は天気もいい。
泉へ行ったり、買い物をしたり、アンナやダニエルに会いに行ったり。
絶好のお出かけ日和、なのだが、エリーはあることを決めていた。
それは、ウィリアムを祭りへ誘うことだ。
幸い、今日のウィリアムはたっぷりと時間がある。
いつでもゆっくり話ができるだろう。
シェルに会ったことを話し、オルゴールを見せ、火炎の陣という物騒な名前の祭りへ行こうと誘おう。
リヒトが周りを飛び回ってエリーに何かをアピールしている。
きっといつものように泉に行きたいのだろう。
しかしそれをエリーは完全に無視する。
意外と頑固なのだ。