Liebe
「あっ」
「ん?」
「鬼がいます!」
エリーがそう言って驚いたような表情でアンナを振り向く。
アンナは笑って窓際に近寄る。
「ヴィルベルには妖精がいるって聞いたことある? それと同じように、フランメには鬼がいるのよ。妖精と違って、かなり積極的に街に出てくる種族だけどね」
「そうなんですか……」
「えぇ。人と同様に暮らしているわよ」
「へぇ……」
エリーは身を乗り出しながら街を歩く鬼たちを見つめる。
見すぎるのは失礼かも知れない。
でもリヒトや他の妖精たちと同じように、少しでも仲良くできたら嬉しいなぁとエリーは考えていた。
「明日のお祭り、楽しみです」
しみじみと言うエリー。
そんなエリーに後ろから抱きつきながら、アンナはいつものように豪快に笑った。