Liebe
アンナがエリーに着せたのは、白藤色の浴衣だ。
花柄が綺麗に並んでいる。
エリーの亜麻色の髪はアンナの手によって上げられた。
いつもは下ろしているため、新鮮に感じる。
「これは……」
「気に入った? 火炎の陣ではね、浴衣を着るのが一般的なのよ」
そう言ってアンナがにっこり笑う。
確かに先程窓の外から見ていた限り、浴衣姿の人が多かったように思えた。
エリーはなんだか嬉しくなって、ぐるぐると回ってみる。
やっと起き上がったリヒトが、そんなエリーをぼんやりと見つめる。
「ふふ、じゃあ準備出来たってウィル達に言ってくるわね。すぐに出るから、用意を済ませておいてね」
「わかりました」
部屋を出ていくアンナ。
エリーは荷物を持って、リヒトに向かってもう一度回って見せた。
「リヒト、どう?」
楽しそうに聞くエリー。
リヒトもまた楽しそうに頷いて笑った。もう寝ぼけてはいないようだ。
「そろそろ行くみたいだから、リヒトも準備してね」
そんなエリーの言葉にも大きく頷く。
準備も何も、起き上がってエリーの頭の上に乗るくらいしかすることはないが。
「エリー、もう行ける?」
「はーい」
「じゃあ行くわよ」
アンナに声を掛けられ、エリーはリヒトを連れて部屋を出た。
外から聞こえてくる賑やかな音に、エリーは楽しみを隠しきれない。