Liebe
そわそわしながら、順番を待つエリー。
すごいりんご飴というのは、一体どんなりんご飴なのだろう。
期待に胸を膨らませるエリーの頭の上に乗るリヒトもまた、エリーと同じ表情をしている。
屋台に近付くにつれて、なんだか気温が高くなっていく気がした。
エリーはぱたぱたと手で顔をあおぐ。
リヒトもぐったりしている。
アンナやダニエルも時々ハンカチで汗を拭いている。
シェルやサラが平気そうなのは火炎の都の住人だからだろう。
しかしウィリアムもなんだか平気そうだ。
「あ、暑い……」
思わず声に出すエリー。
そんなエリーにシェルはにやりと笑みを向ける。
「こんなんでへばるなよ」
「シェルはどうしてそんなに平気そうなんですか……」
「まぁ、オレは強いからな」
得意気に胸を張るシェルの頭をアンナが小突く。
「暑さに慣れてるだけよ。ここに住んでるんだから」
「けっ」
拗ねたように唇を尖らせるシェルだったが、何かを思いついたようにエリーを見る。
「しょうがねぇから気を紛らわせてやるよ」
「なんですか……?」
シェルは左手の甲をエリーに見せるようにして上げた。