Liebe
「よーく、見てろよ」
そう言って、しばらくエリーの目を引きつけ、シェルは右手の指をぱちんと鳴らした。
「わっ」
指を鳴らしたのと同時に、左手の人差し指の先から炎が発生したのだ。
エリーはぽかんとその指先を見つめる。
「へへっ」
シェルは満足そうに笑い、再び指を鳴らす。
すると、中指の先からまたしても炎が現れる。
それを指の数だけ繰り返す。
「へへー、炎の爪ぇ」
どうだ、とでもいうようにシェルは得意気な顔でエリーの反応を伺う。
エリーはぱちぱちと拍手をした。
「すごい! すごいです!」
リヒトもエリーの頭上で同じように拍手をしている。
「そうそう。オレはすごいんだよ」
嬉しそうに笑うシェル。
エリー程素直な反応をする者は、今まであまりいなかったのだろう。
「はいはい。そんなことより、りんご飴見えて来たわよ」
「そんなことって……」
「わぁ、あれがりんご飴ですか?」
アンナの言葉にエリーは屋台に目を向けた。
アンナの言う通り、りんご飴が見えてきていた。
そしてそれは、エリーの思い描いていたりんご飴の姿をしていなかった。