Liebe



りんご飴ほど特殊な食べ物はなかったが、屋台の食べ物はどれもすごく美味しいものだった。
金魚すくいや射的もやった。しかしエリーは下手だった。


「もうそろそろ広場行くか?」

空が暗くなってきた頃、シェルがそんなことを言い出す。
不思議そうに首を傾げるエリー。

アンナは空を見上げた。

「そうね。そろそろ行きますか」

まるで広場に何かがあるかのように、それを皆が知っているかのように。
当たり前のように、広場に向かって歩き出した。

エリーはリヒトと顔を見合わせる。
やっぱり二人は同じように不思議そうな表情だ。

「……行けばわかる」

そんなエリーの疑問をわかっているような口調で、ウィリアムが隣で口を開く。
反射的にウィリアムを見上げると、頭に手が、再び乗せられた。

「大丈夫だ」

「……はい」

へへ、と笑うエリー。
今日のウィリアムはなんだか機嫌が良さそうだ。
そんなことを思い、エリーはまたへへ、と笑った。

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