Liebe
「お、おはようございます……」
驚くエリーは小声で挨拶をして、思わず苦笑する。
「どうかされたんですか?」
「いーや、ちょっと散歩に付き合ってもらおうと思って」
シェルもエリーにつられて小声で話してくれる。
「散歩?」
「おう」
そう言ってシェルはにかっと八重歯を見せて笑う。
「案内してやるよ。火炎の都」
「わぁ、本当ですか?」
「あぁ。玄関で待ってるから、早く来いよ」
そう言ってまた笑い、そのまま窓から跳ぶように降りていった。
エリーが心配そうにその姿を目で追いかける。どうやら無事地面に着地したようだ。
エリーはアンナを起こさないようにして着替える。
リヒトは眠っているし、連れて行くか悩んだが、後で拗ねてしまうと思いワンピースの胸ポケットに入れた。
そのうち起きるだろう。
お散歩に行ってきますと書き置きをテーブルに残し、エリーは部屋を去る。
宿の玄関の扉を開けると、眩しい光がエリーの姿を照らした。