Liebe
「よっ」
本日三度目だ。
「お待たせしました」
「おう。じゃあ、行くか」
「はい!」
街を歩き始めると、昨日とは随分雰囲気が違うとエリーは感じた。
それがわかっているかのように、シェルは笑った。
「祭りが終わった直後だから、皆いつもより気が抜けてんだよ」
「そうなんですね」
「そのうち皆起き出して片付け始めるぜ」
「シェルはいいんですか?」
「お、オレはいいんだよ」
少し動揺したようにどもるシェル。
エリーは察したようにふふっと笑った。間違いなくすっぽかすつもりだ。
「今日は片付けで入れない店多いんだよなぁ、どこ行くかぁ」
シェルがきょろきょろしながら歩いていく。
その斜め後ろをエリーがついていく。
「お、シェル坊じゃねぇか」
「おっちゃん」
目の前でちょうど開かれた扉からいかつい赤い髪のおじさんが出てきて、シェルに声を掛ける。
……また赤い髪。この街の赤髪の多さにエリーは感心していた。
「どうしたどうした。彼女かぁ?」
エリーの姿を見て、驚いたようにおじさんが目を見開く。
シェルはむっとしたように唇を尖らせた。