Liebe

「彼女じゃねぇよ」

「はっはっは! そうだよなぁ、お前がサラちゃんを諦める訳ねぇよなぁ」

「当たり前だろ! ってサラはそんなんじゃねぇって!」

そんなやり取りに思わず笑ってしまうと、シェルが素早くエリーを振り向く。

「お前も笑ってんじゃねぇっての!」

「ふふ、ごめんなさい」

「あーもう!」

シェルがむすっとしたままおじさんに視線を戻す。

「じゃあオレたちもう行くから!」

「まぁ待てよ」

そう言っておじさんが笑う。シェルは「何?」と首を傾げる。

「昨日の余ったジュースがあるんだ。持ってけよ」

「くれんのか?」

「おうよ」

そう言っておじさんが「ちょっと待ってろ」と言って扉を開けっ放しにして中に戻って行く。

「ほらよ」

再び出てきたおじさんがジュースの缶をシェルに投げる。
それをシェルが受け取り、にかっと笑う。

「ありがとう、おっちゃん」

「おう。嬢ちゃんもほら」

「あ、ありがとうございます」

おじさんに手渡されたジュースも、やっぱり赤かった。
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