Liebe


再び歩き出すと、エリーは手に持ったジュースを眺めながらシェルに尋ねる。

「これ、何のジュースなんですか?」

「え? あぁ、確か林檎」

「林檎ですかぁ」

「なんで?」

「缶が赤いのが気になって……」

「火炎の陣の時は中身が何であろうと缶は赤いぞ?」

「そ、そうなんですか」

そういえば、とエリーは思い出す。
暗い時に飲んだからよく見ていなかったが、昨日祭りの時に飲んだカフェオレの缶も赤かった気がする。変な祭りだ。

「見づらいと思うけど、中身はちゃんと書いてあるぜ? ほら、ここ」

そう言ってシェルがエリーの持っていた缶を一緒に覗きこむ。
身長が大体同じなため、シェルのさらっとした髪がエリーの前髪に当たる。

シェルが指さした所には、確かにジュースの中身が書いてあった。
全く気が付くことができなかった。

そんなことを思い、エリーは胸ポケットがごそごそと動いているのに気付いた。リヒトが起きたのだろうか。
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