Liebe
「素敵なものがたくさんありますね……」
「だろ?」
何故かシェルが得意気に笑う。
そんなシェルに笑みを返しながら、エリーは少しだけ雰囲気の違う場所を見つける。
「ここだけ、なんだか雰囲気が違いますね」
そこは床も壁もガラスで囲まれた空間だった。
中に入ると、風の都の雑貨屋で見かけた時とは比べ物にならない数のガラス製品が置いてあった。
食器やアクセサリーはもちろん、置物や家具、楽器なども置いてあった。
全てガラスで出来たものだ。
ガラスだけで出来た、美術館のような空間だ。
「そうなんだよ。いいだろ、ここ」
シェルが興奮気味に言う。
エリーは頷いて、ゆっくりとしゃがんで一つ一つの商品を見る。
なんだか触れてはいけない気がするのだ。
「ここの商品はな、大体オレんちの店で作られたもんなんだ」
「そうなんですか」
「そうそう。かっけぇだろ。綺麗だろ。いいだろ」
「はいっ」
シェルが隣で一緒にしゃがむ。
まるで初めて見るかのように、エリーと同じくらい純粋な目をして並べられたガラスを見つめている。
――本当に、好きなんだ。
そうして二人でガラスの空間に居座っていると、突然大きな声が店内に響いた。