Liebe
「……大丈夫ですか?」
「あぁ」
困ったように頭を掻き、ウィリアムはエリーに視線を送る。
「じゃあ、頼む」
「はいっ」
ウィリアムがエリーの膝に頭を乗せる。
すると、数分も経たないうちに寝息が聞こえだす。
よほど疲れていたのだろう。
エリーは微笑んで起こさないようにウィリアムの頭をゆっくりと撫でる。
リヒトはその光景を羨ましそうに見ていたが、何事もなかったかのように窓の外に目をやる。
がこんと音がして、列車は再び動き出した。
そして風の都に着くまでの間、エリーはぼんやりと窓の外を眺めていた。