ピーターパンに恋をして~親友の弟(大学生)と再開しまして~
でも、いつだったっけな──。
いつきくんが苦手なハーモニカをサクラちゃんが教えてあげていた事があった。
それにこの間なんか、サクラちゃんが転んで泣いた時、真っ先に知らせにきたのがいつきくんだった。
いつも喧嘩している2人だけど、本当は仲が良いのも私はよく知っている。
「先生、2人が喧嘩すると悲しいなぁ」
なんて眉を下げて笑ってみたところで、"だって"なんて言い合いは続けられる。
「ねぇ、先生は最初から見てなかったから分からないけど。サクラちゃん。いつきくんはね、意地悪で髪の毛を引っ張った訳じゃないんだよ?」
私の言葉に、目をパチパチとさせるサクラちゃん。
「いつきくんも。この玩具、貸したくなかった訳じゃないんでしょ?もうちょっと遊んでたかったのかな?」
目の前のいつきくんは、下を向いたままより深く頷くから表情は見えないけれど。
「いつきくんもサクラちゃんも、仲良く一緒に遊びたかったんじゃないのかな?」
そう言って、小さな2人の頭に手を撫で下ろした。