ピーターパンに恋をして~親友の弟(大学生)と再開しまして~
「アリカ先生に言われたから、いつきくんと仲良く出来るって……」
「マーマー!それ内緒って言ったじゃん!」
話の途中で、サクラちゃん本人がお母さんの足にしがみつく。
お母さんは悪びれもなく"ごめんごめん"ってクスクスと笑みを浮かべた。
「先生。いつきくんにも内緒ね……」
そう言って、サクラちゃんは困った様に人差し指を口元に当てる。
本人が意識しているのかは分からないけど、サクラちゃんの頬は赤く染まっていた。
「じゃぁ、またねー!」
元気なサクラちゃんの声と共にお母さんもペコリと頭を下げる。
私に子供らしい無邪気な笑顔を見せてから、お母さんの腕を組んで歩き出すその背中が目に入った。
素直で可愛いな──。
こういう時って、やっぱり保育園の先生やってて良かったなぁって思えるんだよな。
自然と笑みが溢れて、心が温かくなった。