ピーターパンに恋をして~親友の弟(大学生)と再開しまして~
駐車場について車に乗り込んだところで、ふと ユミにスピーチをたのまれていた事を思い出す。
「あー、やりたくない……」
でも、めでたい事柄なだけに引き受けるしかないんだと、諦めの息が漏れる。
スピーチの本でも買っておこうと思って、エンジンをふかしてそのまま近くの本屋に車を向けた。
冠婚葬祭──、と。
店内にずらりと並ぶ"結婚式のスピーチ"の本の数が想像していたより多くて少し圧倒される。
泣けるスピーチ、笑いを取るスピーチと分かれているものもあるけれど。
普通でいいのよ、普通のスピーチで。なんて何冊か中身を軽く見て、悩みながらも参考なりそうなものを1冊手に取った。