ピーターパンに恋をして~親友の弟(大学生)と再開しまして~
その瞬間──、
「ふがっ!!」
思いっきり鼻を摘ままれた。
「んなわけねーだろ!!バーカ!」
「もー、離してよ」
ダイが私の耳元で大きな声を出すから、周りの友達からも笑い声が上がる。
「アリカのスピーチさぁ」
そして、ダイの仕返しと思われる攻撃が始まった。
「え?」
「本当にあれは良かった。定型文まるパクリっぽいのに、アリカが本当にずーっっと泣いてるから凄く泣けた」
「いやー!それ言わないでよ!」
確かにユミへの手紙という形で読んだスピーチは、忙しかったという理由もあって本をそのままうつして書いてしまったんだ。
寂しい思いに付け加えて、アルコールが入ってしまった私は手紙を読んでいる間、あり得ない位にずっと泣いていた。
「ったく。アリカ酔うとすぐ泣くからさぁ」
「うるさいっ!!あんたには私の寂しさが分からないのよ!!!」
なんて私の声と地元の友人達の笑い声が辺りに響いたところで、
「あれ?もしかして、アリカちゃん?」
なんて私の名前を呼ぶ低い声が耳に入る。