弟はドラゴンで
そして次の日。
「かーたーぎーりーさんっ」
移動教室で凛と廊下を歩いていると、後ろから突然名前を呼ばれて、肩がビクンと跳ねた。
「や、柳くん?」
「よっ!今から移動教室?」
「うん、そう」
「そーなんだ、気をつけてね〜」
「う、うん。じゃあね」
また次の日。
「かったぎーりさーんっ!」
今度は廊下ですれ違う時に、名前を呼んで手を振ってくる柳くん。
苦笑いで一応手は振り返すけど……。
やっぱ、なんか、どう反応すればいいのかわからない。
またまた次の日。
「か・た・ぎ・り・さんっ☆」
体育の授業が終わると、柳くんがまた声をかけてきた。
体育は隣のクラスと合同授業なので、柳くんとは同じ。
凛と更衣室に行こうとしたところを引き止められた。
「き、今日も元気だね……」
「片桐さんと話せるからね!」
「そ、そう……」
いつもニコニコとしている柳くん。
爽やかボーイって感じで気さくな人っぽいんだけど、フレンドリーな感じの絡みは、やっぱりあまり慣れていない。
なんだか、柳くんは最近、よく私に話しかけてくる。
パンケーキ屋の時からずっと話しかけてきてくれるけど……。
特に話題もなくて、名前を呼ばれても反応の仕方がわからないし、なんというかうまく話せないから、緊張で体が固くなってしまう。
もともとそんなに柳くんのこと知らないし、特にかな。