弟はドラゴンで
放課後。
「じゃーね〜」
「気をつけてねー!」
帰り道、凛といつもの曲がり角で手を振って別れる。
凛の後ろ姿を確認して、私も家に向かおうとした、その時。
「えっ」
私は、驚いてつい声を出し、進もうと出した足を止めてしまった。
だって、電柱の横に立っていたのは……龍。
「な、なんで?どうしたの?」
私はすぐそこにいる龍のところへと駆け寄る。
「心配だったから」
「へ?」
意味深な龍の言葉に、私は首をかしげた。
「唯に、何かあったらと思って」
「え、え?なんもないよ??いつも普通に帰ってるでしょ?」
制服のズボンのポケットに手を突っ込んで、突っ立ったまま話す龍を、じっと見る私。
それに対して、龍はなぜか私の目を見ようとしない。
むしろ、そらしているようだ。
「……いいから!帰るぞ」
「……な、なんなの?」
龍はパッと背中を向けて、先に歩き始めた。
本当に、龍の言動が意味わからなくて、私の頭にはハテナしか浮かばない。
こんなこと、初めてだし。
とりあえず、私は龍の隣に並んで歩く。