弟はドラゴンで



放課後。




「じゃーね〜」


「気をつけてねー!」




帰り道、凛といつもの曲がり角で手を振って別れる。


凛の後ろ姿を確認して、私も家に向かおうとした、その時。




「えっ」




私は、驚いてつい声を出し、進もうと出した足を止めてしまった。


だって、電柱の横に立っていたのは……龍。




「な、なんで?どうしたの?」




私はすぐそこにいる龍のところへと駆け寄る。




「心配だったから」


「へ?」




意味深な龍の言葉に、私は首をかしげた。




「唯に、何かあったらと思って」


「え、え?なんもないよ??いつも普通に帰ってるでしょ?」




制服のズボンのポケットに手を突っ込んで、突っ立ったまま話す龍を、じっと見る私。


それに対して、龍はなぜか私の目を見ようとしない。


むしろ、そらしているようだ。




「……いいから!帰るぞ」


「……な、なんなの?」




龍はパッと背中を向けて、先に歩き始めた。


本当に、龍の言動が意味わからなくて、私の頭にはハテナしか浮かばない。


こんなこと、初めてだし。


とりあえず、私は龍の隣に並んで歩く。


< 29 / 48 >

この作品をシェア

pagetop