弟はドラゴンで
「…………」
「唯?」
呆然とする私に気づき、凛が声をかけてきた。
「あっ、ごめんごめん。人間に翼、だっけ?そんなの、なんかの見間違いじゃない?あはは……」
完全に動揺してしまった私は、話し方がなんだかぎこちないことは自覚していた。
やばい……。
凛、変に思ったんじゃ……
「ええ!?なんでそんなこと言うの!?」
あ、大丈夫みたい。
「……え、だって……さ?そんな非現実的なこと……ありえないって…………」
「人間に翼!!超メルヘンじゃない!?」
「……め、めるへん?」
前のめりに話す凛の目はキラキラとしている。
「だってさだってさぁ〜!アニメとか漫画とかでしか出てこないじゃない!?そういうの!!それが現実にいるなんて……夢みたい!!」
あ、忘れてた。
凛、本気で天然なんだった。
びっくりするくらい疑い深くないし、普通ありえないようなことでもすんなり受け入れられちゃうような子なんだよね……。
凛だったら、龍の本当の姿を知っても、すっごい喜びそうだな……。
「で、でも、襲うんでしょ?人間を……」
「う〜んでも、一度会ってみたいなぁ!」
凛って、本当なんていうか……すごいよな……。
人間を襲うって聞いても、実際こうやって会いたい欲出しちゃってんだもんな……。