364日の嘘と、たった1日の真実
プロローグ
周りの声がやけに遠くて、まるで別の世界のできごとみたい。
救急車のサイレンが近づいてくるのに…どかなきゃって思うのに動けない。
ねぇ、翔、私はどうすればいいのかな?
私の前には血を流す、蒼白な顔の少年がいる。
赤と白のコントラストがやけに鮮やかで…
…こんなにも苦しい。
大人たちの手が翔をすくい上げていく。
ねぇ、誰か…教えてください。
翔は、私の大切な人は助かりますか?
世界がブラックアウトした。