364日の嘘と、たった1日の真実
そんなの…そんなの、耐えられるわけがない!
私のために、翔の命が、人生が奪われていいわけない!
神様…
もしも本当にいるのなら、私の命と引き換えに、愛する人を救ってください。
私の寿命を捧げます。
だから後一年だけ、大好きな人と過ごさせて…!
一年だけ、その傍で…大好きなあの笑顔を見ていたいの。
「おばあちゃん、ちょっと一人になりたい…」
呟くように言えば、おばあちゃんは心配そうな顔をしながらも部屋を出て行った。
おばあちゃんには悪いと思うけど、でも、私にとってそれは苦しすぎることだったから。
苦しくて、苦しくて…
まるで出口のない暗闇を彷徨うような、深い海の底でもがくような…無力感。
私は、どうすればいいの…?
お母さんの温もりを求めて泣いた夜の心細さ。
宝物だったマグカップを弟に壊されたときの悔しさ、悲しさ。
それらを全て足したって足りないくらいの苦しさ。
ねぇ、翔、あなたは私を恨むことすらできない…
私はそれが苦しいの。
翔が生きていて、私が死ぬ…それが定めのはずなのに。
どうして私を庇ったの?
翔の時間が、命が、あなたの持つ価値は私よりもずっと大きくて、ずっと多くの人があなたを心配するのに…
苦しんで、悲しむのに…