恋は、秘密主義につき。
「・・・よね?、美玲は」
隣りから話しかけられたのだと我に返り、俯かせ気味だった視線をはっとして上げた時。
佐瀬さんの冷たくも温かくもない闇色の眸が、一瞬にして私を突き抜けていき。何もかもを見透かされているようで。咄嗟に逸らした。
「えぇと・・・なんでしたっけ? ちょっと違う世界に行ってました」
貼り付けた笑顔を一実ちゃんに振り向けると。
「もしかしてもう眠くなったの? この子、カクテル2杯で夢のセカイに行けちゃうから、佐瀬サン気を付けてやってー」
丸っきりお姉さんの口ぶりで言い、店員さんを呼んでウーロン茶を2つオーダーする。“締め”の合図だ。
「じゃあ、あたしちょっとお手洗い。美玲も来る?」
「あ、はい」
椅子から立ち上がった彼(彼女)と一緒に、お店の隅のレストルームへ。
あのままだったら、どんな顔で笑えているのも分からなくなりそうだったから。半分は逃げられて、ほっとした。佐瀬さんの前から。
順番で用を済ませてから、洗面スペースでお化粧直しを始めた一実ちゃんに倣って、自分もバッグから化粧ポーチを取り出す。
「・・・ねぇ美玲」
隣り合わせで並ぶ鏡越しに。一実ちゃんが真っ直ぐ私を見つめていました。
隣りから話しかけられたのだと我に返り、俯かせ気味だった視線をはっとして上げた時。
佐瀬さんの冷たくも温かくもない闇色の眸が、一瞬にして私を突き抜けていき。何もかもを見透かされているようで。咄嗟に逸らした。
「えぇと・・・なんでしたっけ? ちょっと違う世界に行ってました」
貼り付けた笑顔を一実ちゃんに振り向けると。
「もしかしてもう眠くなったの? この子、カクテル2杯で夢のセカイに行けちゃうから、佐瀬サン気を付けてやってー」
丸っきりお姉さんの口ぶりで言い、店員さんを呼んでウーロン茶を2つオーダーする。“締め”の合図だ。
「じゃあ、あたしちょっとお手洗い。美玲も来る?」
「あ、はい」
椅子から立ち上がった彼(彼女)と一緒に、お店の隅のレストルームへ。
あのままだったら、どんな顔で笑えているのも分からなくなりそうだったから。半分は逃げられて、ほっとした。佐瀬さんの前から。
順番で用を済ませてから、洗面スペースでお化粧直しを始めた一実ちゃんに倣って、自分もバッグから化粧ポーチを取り出す。
「・・・ねぇ美玲」
隣り合わせで並ぶ鏡越しに。一実ちゃんが真っ直ぐ私を見つめていました。