恋は、秘密主義につき。
絵筆で描いたみたいな白い雲が、ゆったり少しずつ左に流れていく。
子供の頃から、空を眺めるのは好きだった。
特に夏空のもこもことした雄大な雲は。あれはやっぱり、空に浮かぶ大陸なんじゃないかと想像をはためかせてしまう。
水蒸気の集まりとは思えないくらい重厚で壮大で。見ていると、嫌なこともいつの間にか薄らいだ。私にとっては、とっておきのリラクゼーション。
新緑の薫りが、鼻の奥を爽やかに抜けていく。
会社にいるとほとんど外に出ないし、光合成を沢山しておかなくちゃ。
太陽を浴びない心は弱って、病気になる。前にテレビで言ってましたっけ。
真剣に考えて、答えを出さなくちゃいけないことが私にはあるから。
ちゃんと栄養補給をして、エネルギー充填200パーセントにしないと。
そこに向かって自分を貫けない。・・・きっと。
キャスケットを取って膝に置き、心地よく蒼天を仰ぎながら。
休日にこんなところで過ごしているなんて、寂しいお一人様女子に見えてるのかも知れませんねぇ・・・。のんびり思っていたら。
いきなり隣りに、どっかり誰かが座ったので。身を竦ませ、驚いて顔を振り向けた。
「・・・出かける時はどうしろって、言わなかったかねぇ? お嬢ちゃん」
そこには。袖をまくった黒いシャツ姿の佐瀬さんが、気怠さと億劫さを全開にして。上からじっとりとした横目を、私に細めていたのでした。
子供の頃から、空を眺めるのは好きだった。
特に夏空のもこもことした雄大な雲は。あれはやっぱり、空に浮かぶ大陸なんじゃないかと想像をはためかせてしまう。
水蒸気の集まりとは思えないくらい重厚で壮大で。見ていると、嫌なこともいつの間にか薄らいだ。私にとっては、とっておきのリラクゼーション。
新緑の薫りが、鼻の奥を爽やかに抜けていく。
会社にいるとほとんど外に出ないし、光合成を沢山しておかなくちゃ。
太陽を浴びない心は弱って、病気になる。前にテレビで言ってましたっけ。
真剣に考えて、答えを出さなくちゃいけないことが私にはあるから。
ちゃんと栄養補給をして、エネルギー充填200パーセントにしないと。
そこに向かって自分を貫けない。・・・きっと。
キャスケットを取って膝に置き、心地よく蒼天を仰ぎながら。
休日にこんなところで過ごしているなんて、寂しいお一人様女子に見えてるのかも知れませんねぇ・・・。のんびり思っていたら。
いきなり隣りに、どっかり誰かが座ったので。身を竦ませ、驚いて顔を振り向けた。
「・・・出かける時はどうしろって、言わなかったかねぇ? お嬢ちゃん」
そこには。袖をまくった黒いシャツ姿の佐瀬さんが、気怠さと億劫さを全開にして。上からじっとりとした横目を、私に細めていたのでした。