恋は、秘密主義につき。
一体どうして、ここにいるのが分かったんでしょう???

「佐瀬さんて魔法使いみたいですね・・・」

気が付けば心の中で言ったはずの独り言が、思いきり口から漏れていました。

「今どきはGPSってモンがあるンだよ。便利な世の中だろ」

そうは思ってもなさそうな口調で返り。溜め息雑じりに髪を掻き上げる仕草。

「こんなトコで、何やってる?」

「えぇと。光合成、・・・でしょうか」

真面目に答えたつもりでしたが、彼の片眉が上がりそれから、ふっと息を吐いた。

「まあ・・・たまにはお天道サマも必要だわな」

夜道ばっかり歩ってるワケにも、いかねーンだし。
呟くように佐瀬さんは言い、ベンチの背もたれに肘を乗せて足を組んだ。

「もしかしなくても、わざわざ探しましたか・・・?」

躰ごと傾け、恐る恐る訊ねる私。
GPSといっても公園にいるのが分かるくらいでしょうし。そこそこ広い園内をどれくらい歩き回らせたのかと思うと、心底いたたまれません。

「他にどうしろって?」

素っ気なく言われて、「ごめんなさい・・・っっ」と頭を下げた。

「近くで買い物するだけだからと思って出てきたんですけど、天気も良いですし、気分転換もしたくなって、いろいろ考えなくちゃいけないことも、・・・ありました、し・・・・・・」

最後の方は声もだんだん小さく、尻つぼみになっていく。
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