恋は、秘密主義につき。
この間よりも重くまとわりついた疲労感。
ゼンマイが切れたお人形のように、佐瀬さんの腕の中に力の入らない躰を投げ出して。

汗で額に張り付いてしまっていた前髪を武骨な指が掬いあげて、そこにキスが落ちる。
目を瞑ったままの瞼に、鼻の頭に、続けて押し当てられる感触。

彼が身動ぎして、唇が首筋を辿ろうとしたのを。

「も、・・・ダメ。・・・です」

ようやく掠れた声で、その先を止めた。
これでも立て続けに2度、佐瀬さんを受け止めたあとで。本当にもう、起き上がることすら出来なくなってしまいそうでした。

仕方がないと言わんばかりに、問答無用で胸に強い刺激を与えられ。
思わず上げた声に満足したのか、ゆっくり上体を起こすと私を抱え上げて貴方はバスルームに向かったのでした。
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