恋は、秘密主義につき。
6-2
ふと目覚め。遮光カーテンのすき間から差し込む光に朝だと分かって、ヘッドボードに置いたスマートフォンにゆるゆると手を伸ばしました。
征士君が10時に迎えに来るので、念のためアラームは8時にセット。表示された時刻は7時18分。休日の朝にしては早起きです。

「・・・・・・緊張してるんでしょうか・・・」

ぼんやり独り言ちる。

寝返りを打ち、肌掛け布団に包まって目を瞑り直してみても頭の中は冴えていて。二度寝は諦めて潔く起き上がった。
カーテンを開け放つと、部屋の光彩が一気に明るく塗り替わる。
窓ガラス越しの空は生憎の薄曇り。雨の予報ではなかったけれど。

パジャマのままで下に降り、キッチンに立つママに朝の挨拶。

「美玲は昔から、遠足とか運動会の朝は嬉しくて早起きになっちゃうんだったわ」

ニコニコと意味深な笑顔に曖昧に笑って返し、時間もあるのでバスルームに向かう私を。

「しっかり磨いておきなさいねぇ」

語尾に音符マークでもくっついているかのような、浮き浮きとした声が追いかけた。


・・・そうですね。心だけは何があっても、曇らせないように。
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