恋は、秘密主義につき。
「二人とも、今日はお仕事は無いんですか?」

サラリーマンとは違うから、ライフスタイルが変動的なのも知っている。
素朴な疑問を投げかけると、それぞれが答えてくれた。

「まあねー。やっと、ひと段落しそうでさ。久々にレイをいじりまくって遊んだら、ラストスパート頑張れそうだし?」

「変な言い方すんな、アホが。・・・俺はゴールデンウイーク前から忙しくなるから、強制的に休み取らされてんだよ」

「そうなんですね。でも会えて嬉しいです。新年会以来ですもん」

「だな。てか、立樹(たつき)さん、ゴルフじゃなかったら絶対来たと思うわー」

「たぁ君とは、週に5日は会ってますけど?」

きょとんとして視線を傾げて見せた。

ヨウ君の口から飛び出した立樹さんと言うのは、結婚して三人のお子さんもいる従兄弟の一人で。10歳近く歳が上なせいか、昔から私を妹のように溺愛してはばかりません。
しかも職場の上司でもあるので、パパよりも顔を合わせてる気がします。

「365日オマエの顔見ないと、気が済まないんだろ」

ヒサ君が事も無げに言うから、小さく息を吐いてしまう。

「会社でも、課長さんなのに私のストーカーって呼ばれてるみたいで」

するとヨウ君が吹き出し、ヒサ君が小さくむせた。

「美玲は愛されてるね」

兄さまが優しく笑うのを、確かに愛情をかけてもらえるのは幸せなことだと、少し考えをあらためる。
土日に会わない分、ことさら月曜日はたぁ君が私の周りをうろうろして、ストーカー遍歴をまた上塗りしちゃうんだろうなぁ・・・って思いながら。
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