恋は、秘密主義につき。
6-3
ショッピングモールを出て、片側2車線のバイパス道路を滑らかに走り出した車。
陽が延びたお陰で、曇天の空でも景色が見通せるくらいに外はまだ明るい。
片手ハンドルで空いた手を私と繋いだまま、明日の天気や梅雨入りの話をする征士君に相槌を打ちながら。頭の中は別のことで占められていました。
ここから先は二人きり。いつ彼に告げるかは、私次第なんだと張り詰めていく気持ちを。装って、会話の合間に無意識にウィンドゥの方へ外れてしまう視線。
「夜ご飯、レイちゃんの得意料理をご馳走してくれる?」
期待の込められた声に顔を戻せば、前を向く征士君の口許には甘やかな笑みがほころんでいます。
「得意、・・・ですか?」
「ん。和洋折衷でもいいよ、拘らないから」
そもそもママほど料理は上手ではないですし。少し頭を捻ってみた。
「そうですね・・・、パパがよく好きだって言ってくれるのはポテトサラダとか、オムライスとか。あとはカボチャの煮つけ、ひじき煮、鶏肉の生姜焼き・・・でしょうか」
「鶏の生姜焼き? へぇ、美味しそうだな」
「ご飯の上に乗せて丼にするんです。食欲が無い時なんかパパに好評で」
「じゃあ俺も生姜焼き丼と、ひじきとポテトサラダでどう?」
そんな簡単なものでいいのかと恐縮する私に。
「レイちゃんが作ってくれるんだから、目玉焼きだって世界一のご馳走に決まってる」
征士君は大人びた笑みを横顔に覗かせ、繋いでいる指にきゅっと力を籠めた。
陽が延びたお陰で、曇天の空でも景色が見通せるくらいに外はまだ明るい。
片手ハンドルで空いた手を私と繋いだまま、明日の天気や梅雨入りの話をする征士君に相槌を打ちながら。頭の中は別のことで占められていました。
ここから先は二人きり。いつ彼に告げるかは、私次第なんだと張り詰めていく気持ちを。装って、会話の合間に無意識にウィンドゥの方へ外れてしまう視線。
「夜ご飯、レイちゃんの得意料理をご馳走してくれる?」
期待の込められた声に顔を戻せば、前を向く征士君の口許には甘やかな笑みがほころんでいます。
「得意、・・・ですか?」
「ん。和洋折衷でもいいよ、拘らないから」
そもそもママほど料理は上手ではないですし。少し頭を捻ってみた。
「そうですね・・・、パパがよく好きだって言ってくれるのはポテトサラダとか、オムライスとか。あとはカボチャの煮つけ、ひじき煮、鶏肉の生姜焼き・・・でしょうか」
「鶏の生姜焼き? へぇ、美味しそうだな」
「ご飯の上に乗せて丼にするんです。食欲が無い時なんかパパに好評で」
「じゃあ俺も生姜焼き丼と、ひじきとポテトサラダでどう?」
そんな簡単なものでいいのかと恐縮する私に。
「レイちゃんが作ってくれるんだから、目玉焼きだって世界一のご馳走に決まってる」
征士君は大人びた笑みを横顔に覗かせ、繋いでいる指にきゅっと力を籠めた。