恋は、秘密主義につき。
『俺のワガママ、聞いてくれてありがとうな』

・・・切なさや、言葉にし尽くせない葛藤も。征士君はその一言に込めていた気がしました。
何も言えず、ただ首を横に振って俯くしかない私を。最後にもう一度きつく閉じ込め、「送るよ」と儚そうに微笑んだ。


“ありがとう”に、こんなにも胸を抉られること。
傷付いても譲れなくて、こんなにも恋が無情なこと。

誰もが乗り越えて、幸せを手に入れるんでしょうか。
征士君も私も。
愛して愛される奇跡をこの手にできると、信じたい。

鼓動を続ける私の心臓が一生、痛み続けてもいいです。
神さまがいるなら、どうか。

きっといつか、報われますように・・・!

胸の前できゅっと両手を握りしめながら願うしか。・・・できませんでした。
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