恋は、秘密主義につき。
友達の佐瀬さんは。生き方を選んだだけで、自分まで腐らせるような人じゃなかった。
佐瀬さんに出会うために私は本物の恋をとっておいたんだ。って。
兄さまにこそ、解かってほしかったんです。
口を挟むことなく最後まで聴いてくれた兄さまは、考え込んだようにしばらく沈黙したあと。「美玲が本気で佐瀬を想っているのは、よく分かったから」と、ようやく淡い微笑を口許に滲ませました。
ほっと胸を撫で下ろしたのと同時に、鼻の奥がつんとして目が潤む。
「鳴宮君の誕生日祝いの夜も、一緒にいたのは佐瀬だったんだね」
柔らかいけれど確信した口調に、俯き加減に頷く。
「・・・ママに嘘を吐いたのは本当にごめんなさい。どうしても朝まで傍にいたくて、私がお願いしたんです」
「あまり話を広げないように、優美さんには僕から言っておく。そうだね・・・鳴宮君との結婚に悩んで友達のところに泊まったことにしようか」
「ごめんなさい、・・・兄さま」
結局、辻褄合わせの嘘を吐かせてしまう心苦しさに、思わず涙が零れ落ちた。
「美玲」
席を立って私の横に片膝をついた兄さまが、そっと指先で目元を拭ってくれました。
少しだけ私を見上げている綺麗な貌。
間近で吸い込まれるように深く見つめられ、息も忘れそうなほど。
「ちゃんと話してくれて嬉しいよ。僕がいつだって誰より美玲を愛していることは、憶えておきなさい」
佐瀬さんに出会うために私は本物の恋をとっておいたんだ。って。
兄さまにこそ、解かってほしかったんです。
口を挟むことなく最後まで聴いてくれた兄さまは、考え込んだようにしばらく沈黙したあと。「美玲が本気で佐瀬を想っているのは、よく分かったから」と、ようやく淡い微笑を口許に滲ませました。
ほっと胸を撫で下ろしたのと同時に、鼻の奥がつんとして目が潤む。
「鳴宮君の誕生日祝いの夜も、一緒にいたのは佐瀬だったんだね」
柔らかいけれど確信した口調に、俯き加減に頷く。
「・・・ママに嘘を吐いたのは本当にごめんなさい。どうしても朝まで傍にいたくて、私がお願いしたんです」
「あまり話を広げないように、優美さんには僕から言っておく。そうだね・・・鳴宮君との結婚に悩んで友達のところに泊まったことにしようか」
「ごめんなさい、・・・兄さま」
結局、辻褄合わせの嘘を吐かせてしまう心苦しさに、思わず涙が零れ落ちた。
「美玲」
席を立って私の横に片膝をついた兄さまが、そっと指先で目元を拭ってくれました。
少しだけ私を見上げている綺麗な貌。
間近で吸い込まれるように深く見つめられ、息も忘れそうなほど。
「ちゃんと話してくれて嬉しいよ。僕がいつだって誰より美玲を愛していることは、憶えておきなさい」