恋は、秘密主義につき。
話が終わってミーティングルームを出る直前、「言い忘れたが」と取ってつけたようにたぁ君が後ろから私を振り向かせました。

「システムのオペレーションで、いずれ双葉も来るからな。お守りは頼む」

「?!!」

ふーちゃんまで?!

真っ白に固まった私の額にチュッとキスを落とし、何食わぬ顔で出て行ったたぁ君。
がっくりと膝をつきたくなったのを必死で堪え、足取り重くフロントカウンターへと。

一歩踏み出すごとに、征士君の顔が浮かび。
ふーちゃんの顔が浮かんだ。


もしかしたら。“嵐”になるかもしれない。



なにかを払うように私は小さく首を横に振り。お腹の底に力を込め直して、真っ直ぐ前を見据えた。




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