恋は、秘密主義につき。
その後も、たぁ君がお兄ちゃん愛を力説しているうち。ふーちゃんが戻って、みんなでビンゴゲームに参加するため会場へ移動することに。

兄さまの手が腰に添えられ、反対側にたぁ君。両手に花です。
珍しくふーちゃんは私の後ろを、佐瀬さんと並んでついてきて。
また不穏なことを言って噛み付くんじゃないかと、内心でヒヤヒヤしましたが、途切れ途切れに聞こえる声だけではよく分かりません。

気を取られて思わず躓きそうになったのを。兄さまがスマートに支えてくれました。

「よそ見は危ないから、僕を見ておいで」

妖しい微笑みで覗き込まれ、頭の天辺からボンと音を立てて蒸気が吹き出す。
世界に佐瀬さんと、二人しかいません。笑むだけでこんなに私をかき乱してしまう人は。






ビンゴゲームは前振りがあったとおり、ひとつの景品が10万円相当という豪華さでした。
参加人数からすると当たる確率は低めでしたが、見事に数字がそろい有名メーカーのソファベッドを手に入れたのは佐瀬さん。

「・・・ま、いくつあっても困るモンじゃねぇか」

目録を私に手渡しながら口角を上げる。

「誰かさんのオネダリが増えそーだな?」

少し意地悪く。耳元に寄せてそんなことを囁く貴方。


商品は、後日配送だそう。・・・です。


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