恋は、秘密主義につき。
ビシッとスーツ姿は決まっているたぁ君が。

「美玲、お兄ちゃんが取り分けるから、お前はそこに座ってなさい」

ニコニコ・・・いえ、締まりのない顔で甲斐甲斐しく私の世話を焼く姿を目の当たりにした一実ちゃんは。遠い目をして呟きます。

「・・・・・・ねぇ美玲。ストーカーを通り越して、課長が異世界の宇宙人にしか見えないわ・・・」

「えぇと・・・慣れるとわりと平気ですよ?」


ふーちゃんはふーちゃんで。

「ほらミレイ、可愛く口開けなよ」

長ソファの真ん中に私を座らせ、たぁ君が給仕してくれたテリーヌやコンソメのゼリー寄せを自分が食べさせると言って聞きません。
今日はラベンダー色のシャツにチャコールグレーのネクタイとスーツで、いつもよりも大人びた雰囲気のふーちゃん。

「ソースついてる」

顔を覗き込まれたかと思えば、そのまま唇の端を舐め取られ、たぁ君が向こうからなにか叫んでいます。

「・・・おい双葉、いい加減そういうのやめろ」

離れて座るヒサ君が溜息混じりに窘めても。

「余計なお世話だよ、比佐兄。誰と結婚しようとミレイはぼくのなんだから!」

「レイの旦那になる人って大変だよねー、争奪戦がマジ楽しすぎ。みんな、小姑ってレベル超えちゃってるしさー」

佐瀬さんに向かって、ケラケラ笑い飛ばすヨウ君。
笑いごとじゃありませんてばぁ。

反対側の隣りで一実ちゃんまでがニッコリと。本気なのか冗談なのか。

「そうねー。宇宙人と戦うなら、ウルトラマンになるしかないわねー」



・・・・・・できたら私、普通の人間の奥さんになりたいですよ?
< 359 / 367 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop