恋は、秘密主義につき。
「好きな娘がいるのに誰かと付き合えるほど器用じゃないよ、俺は」

ふっと笑みを浮かべた彼の顔が寄ってきたと思ったら。不意打ちのキス。
2度目。

「・・・ごめん」

確信犯の淡い笑みで。
謝るのが後出しなのは、ちょっとずるいです・・・。



フライパンからは、食欲をそそるバターと醤油の好い香り。あさりが口を開き、征士君は慣れた手付きでパスタと、一緒に湯通ししたキャベツをさっと合わせていく。彩りに、赤と黄色のパプリカの細切りを適量。
出来あがった和風パスタを、見栄えよくお皿に盛り付け。サニーレタスときゅうりはマヨネーズと焼肉のたれで手作りしたドレッシングで、和えものサラダに。

ガラステーブルに並んだ料理を前にした征士君は目を細め。

「初めての共同作業だな」

隣りに座った私の頭を、それは幸せそうに撫でたのでした。



< 52 / 367 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop