恋は、秘密主義につき。
ウォルナットのテーブルの上には、無くなりかけの珈琲カップが置かれていて。兄さまはマスターに、佐瀬さんという彼の分も珈琲を頼み、私にはチーズケーキも付けてラテを注文してくれる。実はそのチーズケーキは自家製で、数量限定の裏メニューなんだとか。
「美玲」
隣り合った兄さまがやんわり微笑みながら、向かいの待ち合わせびとを私に紹介した。
「彼は佐瀬雅之(させ・まさゆき)。高校時代の同級生で、どっちかって言えば悪友かな」
「・・・悪友って言うより、悪魔だろーが」
頭を掻きながら、椅子の背もたれに肘を乗せた格好で寄りかかり、溜め息雑じりにぼそっと呟く佐瀬さん。
「?」
あくま、って。何でしょう??
視線を傾げると、不意に彼と目が合う。
日に焼けて少し浅黒い肌。長めの髪はぼさっとして、あまりスタイリングを気にかけている風でもなく。顎の下も無精ヒゲなのかお洒落なのか、ちょっとよく分かりません。でも顔立ちは、見るとわりとすっきりしていて、あっさり目の醤油とんこつ風味・・・とでも言うか。
黒いシャツにグレーのカラージーンズ。まくった袖口から覗く、バングルとダイバーズウォッチ。
・・・ほら、何て言うんでしたっけ。えぇと・・・あれです、ちょい悪っぽい雰囲気です、一言でまとめるなら。
「美玲」
隣り合った兄さまがやんわり微笑みながら、向かいの待ち合わせびとを私に紹介した。
「彼は佐瀬雅之(させ・まさゆき)。高校時代の同級生で、どっちかって言えば悪友かな」
「・・・悪友って言うより、悪魔だろーが」
頭を掻きながら、椅子の背もたれに肘を乗せた格好で寄りかかり、溜め息雑じりにぼそっと呟く佐瀬さん。
「?」
あくま、って。何でしょう??
視線を傾げると、不意に彼と目が合う。
日に焼けて少し浅黒い肌。長めの髪はぼさっとして、あまりスタイリングを気にかけている風でもなく。顎の下も無精ヒゲなのかお洒落なのか、ちょっとよく分かりません。でも顔立ちは、見るとわりとすっきりしていて、あっさり目の醤油とんこつ風味・・・とでも言うか。
黒いシャツにグレーのカラージーンズ。まくった袖口から覗く、バングルとダイバーズウォッチ。
・・・ほら、何て言うんでしたっけ。えぇと・・・あれです、ちょい悪っぽい雰囲気です、一言でまとめるなら。