恋は、秘密主義につき。
さすがに全開で走りっぱなしというわけにもいかず、少しだけ下げた窓から風を通しながら。佐瀬さんがそうしろと言うので、マスク代わりに鼻と口許にハンカチを当てて、助手席で所在無さげに小さくなっている私。
人見知りの克服どころか、これでは会話もままなりません。
匂いが薄らいで慣れてきたのか、鼻が馬鹿になったのか。それほど酷く感じなくなったように思えて、ハンカチごと両手を膝の上に置く。
佐瀬さんは片手でハンドルを握り、ずっと黙ったままだった。
兎にも角にも、つまり今日から彼は私のボディガード。・・・ということ。
守ってくれる人のことを何も知らないでいるのは、嫌です。何となく。
そう思ったから。お腹に力を込め、意を決して自分から話しかけてみた。
「・・・あの。少しお話をしてもいいですか」
遠慮がちに問うと、間があってから「どーぞ」と返った。
つっけんどんでも、ぶっきらぼうでもなく、おおよそ普通に。
特に嫌われてはなさそうで、ホッと胸を撫で下ろしながら、思い付いたことを訊ねてみようと。
「佐瀬さんは、兄さまとは仲が良かったんですか?」
さっきよりも間が空いて、どうかしたのかと彼の横顔を窺えば。また苦虫を嚙み潰したような表情。
「あの保科と、そんなカワイイ付き合いが出来るヤツがいるのかねぇ・・・」
どことなく哀愁まで漂ってます・・・?
人見知りの克服どころか、これでは会話もままなりません。
匂いが薄らいで慣れてきたのか、鼻が馬鹿になったのか。それほど酷く感じなくなったように思えて、ハンカチごと両手を膝の上に置く。
佐瀬さんは片手でハンドルを握り、ずっと黙ったままだった。
兎にも角にも、つまり今日から彼は私のボディガード。・・・ということ。
守ってくれる人のことを何も知らないでいるのは、嫌です。何となく。
そう思ったから。お腹に力を込め、意を決して自分から話しかけてみた。
「・・・あの。少しお話をしてもいいですか」
遠慮がちに問うと、間があってから「どーぞ」と返った。
つっけんどんでも、ぶっきらぼうでもなく、おおよそ普通に。
特に嫌われてはなさそうで、ホッと胸を撫で下ろしながら、思い付いたことを訊ねてみようと。
「佐瀬さんは、兄さまとは仲が良かったんですか?」
さっきよりも間が空いて、どうかしたのかと彼の横顔を窺えば。また苦虫を嚙み潰したような表情。
「あの保科と、そんなカワイイ付き合いが出来るヤツがいるのかねぇ・・・」
どことなく哀愁まで漂ってます・・・?