恋は、秘密主義につき。
食事は途中で済ませてきたからと、バスルームに直行したふーちゃん。
寝るのはいつも私の部屋で同じベッド、と決まっています。

「で?」

乾き切っていない、少し明るめのブラウンの髪を無造作に掻き上げ。コンタクトから縁なし眼鏡に替わった顔で、冷たい眼差しを容赦なく向けてきます。

「ぼく抜きで、なに勝手に鳴宮征士なんかと付き合ってんのか、って訊いてんだけど?」

スェット姿でベッドの上に胡坐をかいたふーちゃんの前に、ちんまり正座をしている私。
綺麗な貌なのに、無表情で言われたら更に怖いですぅ・・・・・・。

「で、でもですねっ、ふーちゃん・・・っ」

身を縮こまらせながらも必死に。

「許婚を決めたのはお祖父さまですしっ」

「・・・だから?」

「いきなり断るわけにも行かないですし~」

「それで?」

「・・・・・・・・・」


兄さま、どうしましょう~っっ。
ふーちゃんの機嫌が直ってくれそうに、ありません~~。
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