恋は、秘密主義につき。
あ。・・・と思った時には、すでに遅く。
見張った目を、次には眇めて私を見下ろす天使の貌をした・・・魔王さま。
「・・・ふぅん?」
伸びてきた長い指が顎にかかり、くいと上を向かされる。
「ずい分とムキになってコイツを庇うんだねぇ?」
「ッ、ふーちゃんだって、言い過ぎです・・・っ」
間違ったことは言ってませんし!
堂々と胸の中で声を上げつつ、目を合わせてはいられない私。
やってしまいました。ふーちゃんには機嫌よく帰ってもらわないと、毎日毎晩、矢のような電話攻撃でとても恥ずかしいことを言わされます~っ。
「珍しいよねぇ? 人見知りのミレイが、会ったばっかりの人間をそんな風に言うなんてさぁ」
「そ。それは兄さまの、お友達だから。・・・です」
自身でもよく分からずに、自問しながら答えを手繰り寄せて。
何かが心に引っかかった気もしたけれど、それが一番の正解だと思い込んだ。
言葉を詰まらせ気味に、でもそう言い切れば。
顎に手をかけたまま顔を覗きこんできたふーちゃんが、慄く私をじっと見つめてから小さく何かを呟き。滑らせた指で頬っぺたを、むにっと摘まんだ。
「ふーひゃん、ひはいれふ」
「そお?」
一瞬。鋭い視線を佐瀬さんに放ったように見えたのが気のせいだったかのように。にっこり笑って、機嫌が直っているような、いないような?
「まあ、いいよ。とにかく佐瀬サン? 頼むね、期待してるから」
「・・・・・・そりゃ、どーも」
ぼそっと。そこで初めて佐瀬さんが言葉を喋りました。溜め息を混ぜ込んだみたいな響きで。
「じゃあそろそろ行く。夜、電話するね」
二度目のハグで、ふーちゃんのちょっと優しい声は頭の上。
「ヒサ君にも、よろしく伝えてください」
「うん、言っとく。・・・またね。愛してるよ」
「私もです」
離れ際、私の頬にキスをして。颯爽と改札口の向こうに見えなくなった、ふーちゃん。
ワーッときてワーッと去って行く、まさしく春の嵐。・・・でした。
見張った目を、次には眇めて私を見下ろす天使の貌をした・・・魔王さま。
「・・・ふぅん?」
伸びてきた長い指が顎にかかり、くいと上を向かされる。
「ずい分とムキになってコイツを庇うんだねぇ?」
「ッ、ふーちゃんだって、言い過ぎです・・・っ」
間違ったことは言ってませんし!
堂々と胸の中で声を上げつつ、目を合わせてはいられない私。
やってしまいました。ふーちゃんには機嫌よく帰ってもらわないと、毎日毎晩、矢のような電話攻撃でとても恥ずかしいことを言わされます~っ。
「珍しいよねぇ? 人見知りのミレイが、会ったばっかりの人間をそんな風に言うなんてさぁ」
「そ。それは兄さまの、お友達だから。・・・です」
自身でもよく分からずに、自問しながら答えを手繰り寄せて。
何かが心に引っかかった気もしたけれど、それが一番の正解だと思い込んだ。
言葉を詰まらせ気味に、でもそう言い切れば。
顎に手をかけたまま顔を覗きこんできたふーちゃんが、慄く私をじっと見つめてから小さく何かを呟き。滑らせた指で頬っぺたを、むにっと摘まんだ。
「ふーひゃん、ひはいれふ」
「そお?」
一瞬。鋭い視線を佐瀬さんに放ったように見えたのが気のせいだったかのように。にっこり笑って、機嫌が直っているような、いないような?
「まあ、いいよ。とにかく佐瀬サン? 頼むね、期待してるから」
「・・・・・・そりゃ、どーも」
ぼそっと。そこで初めて佐瀬さんが言葉を喋りました。溜め息を混ぜ込んだみたいな響きで。
「じゃあそろそろ行く。夜、電話するね」
二度目のハグで、ふーちゃんのちょっと優しい声は頭の上。
「ヒサ君にも、よろしく伝えてください」
「うん、言っとく。・・・またね。愛してるよ」
「私もです」
離れ際、私の頬にキスをして。颯爽と改札口の向こうに見えなくなった、ふーちゃん。
ワーッときてワーッと去って行く、まさしく春の嵐。・・・でした。