恋は、秘密主義につき。
全ク身二覚エガ、アリマセン。・・・・・・・・・。
そう正直に打ち明けて謝るべきでしょうか? 征士君が純粋に、10年も私を想っていてくれたのだとしたら。それはもう、お詫びのしようが。
凍り付き、ギコギコと硬い音を立てる記憶回路を巻き戻してみても。断片的にしか思い出せない。
夏休みのたびにお祖父さまの別荘に遊びに行くと、毎年そこに彼も来ていて。従兄弟達も、入れ替わり立ち替わり来たけれど、休み中ずっと一緒だったのは征士君ひとり。
裏の小川で遊んだり、森を探検したり。二人とも兄妹がなかったから仲も良かった。夏休みが終わってしまうのが寂しかった。冬を越して季節が廻ってくるのをまだかと待ち望んでいた。
紐解かれていく、懐かしい想い出。
征士君はちょっとヤンチャなところもあったけれど、『ぼくが、まもってあげる』とか、『こわくないよ、ぼくがいるから』とか。紛れもない小さな騎士だった。
『れいちゃんは、おひめさま』。ふと蘇った記憶の欠片。『おとなになったら、ぼくとけっこんするんだよ』。するんだよ。・・・・・・脳内に木霊する。
「レイちゃん?」
現実の、大人になった征士君の声に引き戻されて。
思わずまじまじと、彼を見つめ返してしまった。
「・・・・・・すみま、せん。いま、思い出し、・・・ました」
半ば呆然とそう呟く。
すると征士君は心底ほっとしたように、甘く笑みをほころばせた。
「俺の妄想だって疑われたら、さすがにへこむところだったな。嬉しいよ、お姫さま?」
そう正直に打ち明けて謝るべきでしょうか? 征士君が純粋に、10年も私を想っていてくれたのだとしたら。それはもう、お詫びのしようが。
凍り付き、ギコギコと硬い音を立てる記憶回路を巻き戻してみても。断片的にしか思い出せない。
夏休みのたびにお祖父さまの別荘に遊びに行くと、毎年そこに彼も来ていて。従兄弟達も、入れ替わり立ち替わり来たけれど、休み中ずっと一緒だったのは征士君ひとり。
裏の小川で遊んだり、森を探検したり。二人とも兄妹がなかったから仲も良かった。夏休みが終わってしまうのが寂しかった。冬を越して季節が廻ってくるのをまだかと待ち望んでいた。
紐解かれていく、懐かしい想い出。
征士君はちょっとヤンチャなところもあったけれど、『ぼくが、まもってあげる』とか、『こわくないよ、ぼくがいるから』とか。紛れもない小さな騎士だった。
『れいちゃんは、おひめさま』。ふと蘇った記憶の欠片。『おとなになったら、ぼくとけっこんするんだよ』。するんだよ。・・・・・・脳内に木霊する。
「レイちゃん?」
現実の、大人になった征士君の声に引き戻されて。
思わずまじまじと、彼を見つめ返してしまった。
「・・・・・・すみま、せん。いま、思い出し、・・・ました」
半ば呆然とそう呟く。
すると征士君は心底ほっとしたように、甘く笑みをほころばせた。
「俺の妄想だって疑われたら、さすがにへこむところだったな。嬉しいよ、お姫さま?」