恋は、秘密主義につき。
「片付けはいいから、美玲はお部屋で征士君とお話でもしてなさいな」

談笑がひと段落すると。リビングから呆気なく追い出されて、二階の自分の部屋に彼を招いた。

「普通の部屋ですけど、どうぞ」

南東向きで角部屋だから、午後になっても西側の出窓から陽が射す。夏はやっぱり暑さを感じるけど、明るくて居心地がいいと自分でも思う。

「女の子の部屋って感じだな」

クスリと笑んで見回す征士君。

「レイちゃんらしい。・・・いいね」

ベッドやラインティングチェスト、ラックなんかはカントリー調で揃えてあって。カーテンの柄も、葉っぱ模様のナチュラルテイスト。床は白っぽい無垢材で、雰囲気が柔らかいのもお気に入り。

「テディベアが好きなの?」

出窓やラックの棚、ベッドのヘッドボードにちょこんと座るぬいぐるみに目を留めた征士君が目を細めて微笑んだ。
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