キミのもの
「お疲れさまでーす」

仕事を終えた私は、同じ時間に上がった同僚の男の子に挨拶をして、いつものように裏口から店を出ようとした。


「あ、比奈子ちゃん、ちょっといい?」


「ん、なに?」


「オレ、比奈子ちゃんに話したいことあるんだけど。ちょっと時間取れない?」


私と同じ高校生の、最近バイトに入ってきたその彼を、私はあまり好きじゃない。


だってなんか見た目チャラいし、まだ全然仲良くないのに“比奈子ちゃん“とか、馴れ馴れしいし。


まあ、どっかの誰かさんは、生意気にも「比奈子」なんて呼び捨てしてるけど。


って、蒼真くんのことは置いといて。


彼はなんだか、オレってイケてるだろっていう、勘違いオーラが出てる感じ?


すごく苦手なタイプ。


全然イケメンじゃないし。


見た目なら、蒼真くんの方が100倍イケメンだ。


あー、なんでまた、蒼真くんの話に?!


「えーっと…………まあ、少しなら」


場所を移したいと彼が言うので、例の公園に行くことにした。
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