キミのもの
「蒼真くんとデートなんて、確実に大事な何かが失われる気がする……」


「大丈夫、俺の愛で埋めてあげるから」


「あーもう、ほんっと死ねばいいのに」


「うわ、相変わらず辛辣。でも可愛いからムカつかない。むしろ好き」


「私は嫌ーい」


長い月日は、かつてのいじめっ子をずいぶんと変えてくれていた。


彼は超絶イケメンに成長していて、昔みたいに意地悪なことは言わないし、嫌がらせもしない。


そして、アホみたいに愛されている。


本当にあの蒼真くん?って疑いたくなるくらい、昔とは変わった。


でも彼いわく、昔私をいじめていたのも、いわゆる「好きだからついいじめちゃう」っていう男の子特有の愛情の裏返しだったらしい。


結局、昔も今も、私のことが好きでしょうがないんだそうだ。


それを知った時の私の衝撃は、本当に凄まじかった。


忘れたいのに忘れられなかった、嫌な思い出。


その記憶との向き合い方が、全然わかんなくなってしまった。


それと、今の蒼真くんとの向き合い方も。


全然わかんない。


だって最近……。
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