キミのもの
「どうした?比奈子、疲れてる?元気ないじゃん」


考え事をしていたら、蒼真くんが心配そうに顔を覗き込んできた。


てゆーか、顔!近過ぎ。


「なんかあった?」


「んー、別になんでもない…………って、ちょっと!!蒼真くんっ!離して!!」


「え、ムリ。比奈子が元気になるまで離さない」


このストーカー、困ったことに最近私によく抱きつきます。


「元気だから!なんもないから!あとフツーにここ道だから!もう、離してってば」


そう訴えると、すぐに開放されるけど。


「ね、ドキドキした?」


急に艶っぽい声で、顔近づけてそういうこと言うの、本当にやめて。


情けないことに、ドキドキしてしまう。


それが死ぬほど悔しい。


昔も今も、あたしを悩ますのはいつも蒼真くん。


でも、その感情は昔とはちょっと違う。


今は……。
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