そのままの君が好き〜その恋の行方〜
8月に入り、連日の猛暑が続く。私と和樹さんのお付き合いも、そろそろ2ヶ月になろうとしていた。


そして、今日は私の25歳の誕生日。朝早くから、悠を始め、何人もの友人から、ハッピーバースデーのメッセージをもらったけど、その中に、由夏からのものはなかった。


お正月から始めた6人組のグループLINEも、白鳥先輩や塚原くん、更にはまさかの沖田くんまで私の誕生日を祝ってくれて、盛り上がってたけど、由夏がそこに加わることはなかった。


由夏とはこのまま、もう仲直り出来ないのかな?悠が一所懸命に、私達の間を取り持とうとしてくれてるのだけど、由夏は聞く耳を持たないらしい。


と言って、私が頭を下げると言うのも、おかしな話だし・・・。私は、複雑な思いだったけど、気を取り直して家を出た。


この日、私は夏季休暇のうちの1日をここに当てていた。和樹さんも夏休みに入っていて、実家の静岡に帰っていたが、この日は私の誕生日に合わせて帰って来てくれた。


待ち合わせ場所に行くと、既に和樹さんは待っていた。


「ごめんなさい、お待たせしちゃって。」


「大丈夫、別に加奈が遅刻したわけじゃない。俺が早く着き過ぎた。久しぶりに加奈と2人きりで、会えるから嬉しくなっちまって・・・。」


と言って、照れ臭そうに笑う和樹さん。今日は絵里ちゃんはお祖父ちゃん、お祖母ちゃんのところでお留守番。和樹さんは、私と誕生日を過ごしてくれたあと、実家に戻るハードスケジュール。


「ありがとう。でも無理させて、ゴメンね。」


「気にするな。こんなの無理のうちに入らないよ。」


その和樹さんの言葉が嬉しくて、私は思わず、彼の身体に身を寄せる。


「行こうか。」


「ええ。」


私達は笑顔を交わし合うと、手を繋いで歩き出した。


場所は横浜、ワンパターンと思われるだろうが、和樹さんの帰りのことを考えると、ここが1番いい。


まずお昼に案内された中華街のお店で、ランチタイムとは思えないくらいのコース料理。


「いいの?」


「ああ。本当は何か気の利いたプレゼントを用意すべきなんだろうけど、ちょっと間に合わなかった。その代わりと言っちゃなんだけど、味は保証するよ。」


「ううん、ありがとう。いただきます。」


そう言って、まずは前菜を口に運ぶ。


「おいしい。」


思わず口をつく言葉。今まで食べた中華料理の中では、文句なしのナンバーワン。


「だろ。」


喜ぶ私を見て、和樹さんも嬉しそうだった。
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