そのままの君が好き〜その恋の行方〜
日曜日、私は久しぶりに母校の最寄り駅に降り立った。私と由夏は電車通学だったけど、悠は自転車通学で、いわば地元民だった。
待ち合わせ場所は、私達が下校後、よくおしゃべりに花を咲かせたクレープ屋さん。早いもので、高校を卒業してから7年。久しぶりに訪れたその場所は、当時のままだった。
店には、私が一番乗り。中に入ると、あら久しぶりと声を掛けられた。ご夫婦でやってる小さなお店だが、私のことを覚えていてくれたのには、驚いた。
今日は久しぶりに友達とここで会うんですと言ったら、じゃ、あの子達とも会えるのねと喜んでくれた。私はかつて指定席のように思っていた窓際の席に、腰を下ろした。
「あの子達」とお店の奥さんは言ったが、由夏が来るかどうかは、わからない。悠も、誘ったけど返事をしてくれないんだ、と困ったように言っていた。
悠と由夏は高校入学以来の仲だけど、私は3年の秋になって、2人と友達になれた。白鳥先輩を巡って、いわばライバル関係にあった私と悠。そんな私が近づいて来た時、由夏は、あっさり受け入れてくれた。
そのあと、いろいろあって、私達がギクシャクしてしまった時も、由夏が間を取り持ってくれた。由夏がいてくれなかったら、私は悠と友達には絶対になれてない。
そんな由夏と、絶交状態になってしまった。だけど、私達はケンカをしたわけじゃない。正直どうしたらいいのか、わからないんだけど、でもこのままじゃ、絶対にイヤだ。私は由夏が来てくれることを願った。
「ゴメン、待った?」
そこへ、悠が到着。
「由夏、来てないんだ?」
「うん。」
「そっか・・・。」
1つため息をつくと、悠は席についた。
「加奈、大変だったね。」
「仕方ないよ。結果的に2人に心配された通りになっちゃったんだから。」
そう言って、私が自嘲気味に笑った時だ。カランとドアが開く音がすると、脱兎のごとく店に入って来た人影が。その人影は一直線に私達の席に向かって来ると、ポスンと悠の隣の席に、腰を下ろした。
「由夏・・・。」
声を掛ける悠の方を見向きもせず、真っ直ぐに私を見た由夏は
「ざま、ないね。」
と冷たく言った。
「加奈は勉強はよく出来たけど、実は頭はそんなによくなかったんだね。」
「由夏、止めて。」
悠の制止も聞かず、由夏は更に言う。
「こうなることなんて、ちょっと考えれば、誰にだってわかる。なのに、加奈は私達の警告も聞かずに、突っ走って・・・全部自業自得。同情の余地なし、せいぜい苦しみなさいよ。」
一気にそうまくし立てた由夏。悠は言葉を失い、私は俯いて、彼女の怒りの声を聞いていた。
「って、罵れば、少しはこっちの気も晴れると思ったのに・・・。」
その言葉に、ハッと顔を上げた私は、息を飲んだ。
「由夏・・・。」
由夏が泣いていた。涙を流しながら、ジッと私を見ている。
「本当に好きだったんだね、その人のこと。だから身を引いたんだもんね、凄いよ、加奈は。私にはたぶん出来ない。辛かったね・・・加奈が可哀想、可哀想過ぎるよ。」
気が付けば、悠も私も泣いていた。
「由夏、ありがとう・・・。」
私はこう言うのが精一杯だった。
待ち合わせ場所は、私達が下校後、よくおしゃべりに花を咲かせたクレープ屋さん。早いもので、高校を卒業してから7年。久しぶりに訪れたその場所は、当時のままだった。
店には、私が一番乗り。中に入ると、あら久しぶりと声を掛けられた。ご夫婦でやってる小さなお店だが、私のことを覚えていてくれたのには、驚いた。
今日は久しぶりに友達とここで会うんですと言ったら、じゃ、あの子達とも会えるのねと喜んでくれた。私はかつて指定席のように思っていた窓際の席に、腰を下ろした。
「あの子達」とお店の奥さんは言ったが、由夏が来るかどうかは、わからない。悠も、誘ったけど返事をしてくれないんだ、と困ったように言っていた。
悠と由夏は高校入学以来の仲だけど、私は3年の秋になって、2人と友達になれた。白鳥先輩を巡って、いわばライバル関係にあった私と悠。そんな私が近づいて来た時、由夏は、あっさり受け入れてくれた。
そのあと、いろいろあって、私達がギクシャクしてしまった時も、由夏が間を取り持ってくれた。由夏がいてくれなかったら、私は悠と友達には絶対になれてない。
そんな由夏と、絶交状態になってしまった。だけど、私達はケンカをしたわけじゃない。正直どうしたらいいのか、わからないんだけど、でもこのままじゃ、絶対にイヤだ。私は由夏が来てくれることを願った。
「ゴメン、待った?」
そこへ、悠が到着。
「由夏、来てないんだ?」
「うん。」
「そっか・・・。」
1つため息をつくと、悠は席についた。
「加奈、大変だったね。」
「仕方ないよ。結果的に2人に心配された通りになっちゃったんだから。」
そう言って、私が自嘲気味に笑った時だ。カランとドアが開く音がすると、脱兎のごとく店に入って来た人影が。その人影は一直線に私達の席に向かって来ると、ポスンと悠の隣の席に、腰を下ろした。
「由夏・・・。」
声を掛ける悠の方を見向きもせず、真っ直ぐに私を見た由夏は
「ざま、ないね。」
と冷たく言った。
「加奈は勉強はよく出来たけど、実は頭はそんなによくなかったんだね。」
「由夏、止めて。」
悠の制止も聞かず、由夏は更に言う。
「こうなることなんて、ちょっと考えれば、誰にだってわかる。なのに、加奈は私達の警告も聞かずに、突っ走って・・・全部自業自得。同情の余地なし、せいぜい苦しみなさいよ。」
一気にそうまくし立てた由夏。悠は言葉を失い、私は俯いて、彼女の怒りの声を聞いていた。
「って、罵れば、少しはこっちの気も晴れると思ったのに・・・。」
その言葉に、ハッと顔を上げた私は、息を飲んだ。
「由夏・・・。」
由夏が泣いていた。涙を流しながら、ジッと私を見ている。
「本当に好きだったんだね、その人のこと。だから身を引いたんだもんね、凄いよ、加奈は。私にはたぶん出来ない。辛かったね・・・加奈が可哀想、可哀想過ぎるよ。」
気が付けば、悠も私も泣いていた。
「由夏、ありがとう・・・。」
私はこう言うのが精一杯だった。